今朝、やっと、やっと、朝顔の花がひとつ、咲きました。
駅へ続く道端に、今年の三月から土を耕して、雑草をこまめにとって、朝顔の種を育てました。
ふた葉が芽を出してもすぐに虫に食べられて、あたらしく種をまいて、50本近い朝顔が生き残ったのは30本です。
土が良かったせいか茎が伸びて、葉が生い茂り、まるで、葛(クズ)のようにフェンスにからまり、木にからまって伸びていきます。途中から、茎の先を摘心して、葉っぱを取り除いてやりました。
つぼみかと思ってよろこんでいたらわき芽だっりしてがっかりしましたが、ようやく花のつぼみがつくようになりました。
朝顔の花の色は、秋の空の水色。昔の朝顔の色です。
今はこの色の朝顔をみることはありません。
ところが、今朝、咲いた朝顔の花は、生い茂った葉っぱの間から、やんちやっ子がほっぺを泥んこで汚したような花びらだったので、ちょっと期待を裏られましたが、それでも、゛ああ、よく咲いてくれたね。ありがとう゛といって、朝顔の花を両手に包んで、頬ずりをしました。
夫も朝顔の花を見たようです
「けなげに咲いている姿が、いとおしいね」
朝顔の花を、もう一度見に行ったら、途中で同じマンションの方に会いました。
「今朝、ひとつ咲いてましたね。毎朝、気にして見てたのよ」
そこへ、ゴミを出しにきた女性が「どれどれ」と言いながら、三人で朝顔の花の前にやってきました。
朝顔はもう、しぼんでいました。
さっき見たやんちゃっ子の花の姿はありません。
「つぼみが、ほら、ここにも、ここにも」
「これは明日咲くわね」
たったひとつの朝顔の花が、人から人を呼びます。
・・・・・
実はこの朝顔の花は、4年前から物語が続いています。
今から4年前に、わたしが朝のウオーキングの途中、
道に迷って入り込んだところは建物の影の景色でしたが、水色の花が一面に咲いていました。
まるで別世界です。
おじいさんが朝顔の花を数えていました。
「今朝は500いくつ・・・」
毎朝、朝顔の花を数えていました。
妻と結婚してまもなく、縁日で買った朝顔だそうです。
「妻が病気で寝ているベットの窓際に、朝顔の花が見えるようにツタを這わせてやりたいけど、もう年で手が届かない」
高齢の不自由の身の寂しさを知りました。
わたしは毎朝、携帯電話でおじいさんの朝顔の写真を撮りました。
雨の日も風の日も、11月の霜が降りるまでに。
ツイッターで朝顔のことを書いたら、全国から朝顔の花の写真が送られてきました。
朝顔の花が人と人をつなぎました。
朝顔の種で愛のリレーが始まりました。
今朝、咲いた朝顔の種は、このおじいさんからもらったものです。
花がひとつ咲きました。
今年はどんな愛の物語になっていくのだろうか。
このカフエの場をお借りして、朝顔の花の物語を数回にわけで書こうと思います。
よろしくお願いいたします。